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Everyday I Have The Blues

ある教室の風景 その3 三者面談

PART 3
受験高校(県立)を決定するための三者面談。
なぜか父親がやってきた。
入れる学校を受けりゃいいんだろ、ぐらいにしか考えていなかった私には、苦痛以外の何物でもない。
見栄っ張りの父親と横暴な教師の話し合いが進む中で、私は無言。
大人2人の、“相手へ失礼のないように” と配慮しながらの会話。漂う空々しさがたまらなかった。
「今までの成績から判断すると★★高校ということになりますかね。」
「有難うございます。充分だと思います。」
あれ? 高校はやっぱり●●高校じゃなきゃ って言ってたろうが。
「どうです?◆◆クン、受験勉強頑張ってますか?」
「なかなか親の思うほどには。」
受験勉強なんて、これっぽっちもやってねぇよ。大体、おめぇ、オレと一緒に暮らしてねぇだろうが。
そっから先は何も覚えてない。ろくに聞いてなかったし、せいぜい5分位の話し合いだったんじゃないだろうか。
何か言いたげな父親を避けるため、友人の輪に戻る。とにかく、早く帰って欲しかった。

私の通っていた中学は、市内でもかなりのマンモス校。1クラス50人近く居て、それが10クラスもあった。三者面談も何日かに振り分けられていたと思う。かなり頑固で横暴な教師だったから、本人や父兄の高望みが通るわけもなく、面談はせいぜい一人当たり10分ほどで片付いていた。
ところが、30分近く経っても終わらない奴がいる。
「もめてるみたい。」
「誰?」
「●☆★○」
「なるほどね。」
・・・・・・・・・・
やっと終わったと思ったら、面談をやっていた小部屋から本人が血相を変えて飛び出してきた。紅潮したふくれっ面。今にも泣かんばかり。
男のああいう顔を初めて見た。いや、それ以後も見た記憶がない。
どうやら、親よりも本人自身がゴネていたらしい。
「どうしても●●高校じゃなきゃ嫌だ。受けさせてくれ。」
「駄目だ。無理だ。」
の押し問答で30分。結局、彼の願いは叶わなかった。
まだ15歳、高校卒業したって18歳だ。
●●高校は、あの時の彼にとって何だったんだろう。
憧れ?ブランド?合格が自分にとっての使命だった? ●●高校でなければ人生の敗残者?

プライドの高い彼が味わった、初めての挫折だったのかも。皆が自分に一目置くことを常に望んでいた彼。日頃の、級友を見下しているかのようなあの振る舞いからすれば、受け入れがたい屈辱だったんだろう。

自分の価値を認めさせる尺度が高校の名前しかないとすれば、悲しい話だが、、、、、あいにく、周囲の人間は彼の学校のことなど気にもしていなかった。
「そんなことよりも、、、、」

つづく
by junec1 | 2007-10-31 10:00 | あの日
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