当時はNHKBSの試験放送中だったか、本放送が始まったばかりの頃。週に2日程夕方にハードロック専門番組を放送していたと記憶しています。イギリス制作の番組に日本語字幕を乗っけて。
その番組の中でスタジオでツアー・リハーサル中のVOW WOWが取り上げられたことがあり、結構大きな扱いだったことに驚きました。それだけでなく、いかにもハードロック番組の司会者然とした男が「VOW WOW、いいバンドだぜぇ。最高だ、こいつらは。」と大絶賛。返す刀で「SAXON?ケッ、まだやってたのか。」とのたもうた。素晴らしい毒舌家でしたな、彼は。その彼が手放しで褒め上げていたVOW WOW。そう、この頃が絶頂期でしたねぇ。
このツアー・リハーサルを終えて1989年のHELTER SKELTER U.K. TOURが3月2日のOXFORD POLYTECHNICよりスタート。3月25日BURY ST. EDMUNDS, CORN EXCHANGEまでの24日間で19回の公演。この中のLONDON ASTORIA公演の模様はビデオ収録され、後に『LIVE IN THE UK』としてビデオ及びLD化されています。また、NHKBSで2度に渡って放送されました。コンプリートではありませんが、絶頂期の映像が残されたことは幸運でした(いつの日かコンプリートでDVD出してよ、東芝EMIさん)。
しかしこの絶頂期のなんと短かったことか。
5月中旬にWARLOCKのサポートとして西ドイツにおいて4回のステージ。これの終了後、肝心要のNEIL MURRAYが突如バンドを脱退してしまいます。
BLACK SABBATH加入を誘われてのことでした。
私の推測でしかありませんが、この時のNEIL MURRAY、音楽的にはVOW WOWで続けたかったんだと思ってます。機会があったら、VOW WOWのメンバーとしてプレイしている彼の姿をビデオで観てください。ホント楽しそうですから。
かたや、
TONY IOMMIが昔の名前で食い続けてる瀕死の有名バンド。・・・でもお金にはなるんですな、これが。・・・ま、NEIL MURRAYほどのミュージシャンが2年も付き合ってくれただけでも感謝すべきで、この時BLACK SABBATHを選択した彼の決断を誰も責められないでしょうね。
しかしながら、残されたVOW WOWにとっては非常事態。単にベーシストの不在というだけでなく、イギリスにおける看板を失ってしまったのですから。NEIL MURRAYを超える名前と腕を持ったミュージシャンなど、そう簡単に見つかるはずもなく。
VOW WOWの活動は休止状態へと追い込まれます。というより、後任のベーシストを決められなかったこの時点で、既にVOW WOWは終わっていた、と言って良いかもしれません。
さて、次回は VOW WOW (9) 起死回生目指してアメリカへ、です。